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#37 やさしく [タッチ]

「だまって、やさしくキスするんじゃないか……」
by,上杉達也




タッチ (5) (小学館文庫)

タッチ (5) (小学館文庫)

  • 作者: あだち 充




上杉達也は、ボクシング部である。

弟の和也が野球部で、達也は友人の原田に強制的にボクシングをやらされた。


その中、達也はボクシングで初めての練習試合。
和也は高校で初めての公式戦。
そのふたつが同じ日に行われる。

ふたりの幼なじみ南は、野球部のマネージャーとして、和也の公式戦に行くことになる。


「約束して、かならず勝つって」
(南)


「和也じゃあるまいし、そんな約束できるかよ」
(達也)


「げんまん」(南)
達也に有無を言わさず、約束をした。


試合当日。

もちろん、和也は公式戦で勝利。

達也は負けた。


「惜しかったわね………さっき原田くんから電話があったわ………タッちゃんは精いっぱい戦ったって……一生懸命勝とうとしていたって……だからほめてやれって………」
(南)


部屋にこもり、横になる達也に南は話しかけた。


ほめてもらう行為が、達也にはみじめに感じた。
どうでもいい練習試合だったが、南に「かならず勝って」と言われ、意味のある試合になってしまった。


「ゴメンね…」
(南)


「バカやろォ!あやまられたら、なおさらみじめになるだろうが!」
(達也)


「じゃ、どうすればいいのよ?」
(南)


「そうだな…こんなとき、やさしい女の子なら………だまって、やさしくキスするんじゃないか……
by,上杉達也


そして、南は優しく達也に口づけをする。

それが、ふたりのファーストキスであった。




タカセ

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