#32 I love you~前半~ [H2]
「I love you」
by,国見比呂(H2)
比呂と古賀の二人は、お互いの気持ちを伝えられないでいた。
野球部のエースとマネージャーだが、それ以上の関係でもある。
「友だち以上恋人未満」なのだ。
そんな二人の仲が険悪になる。
三善という男の出現によって……。
三善は帰国子女で、高校2年の夏に比呂たちのいる千川高校に転校してきた。
三善は、英語がペラペラで柔道の腕もたしかである。
古賀はスチュワーデスになるのが夢であり、英会話教室に通い始める。
その英会話教室の先生が三善の父親であった。
古賀はそれ以降、部活を途中で抜ける日も出てきて、英会話教室に通う。
古賀と三善の距離が少しずつ近づく。
比呂はそれが気がかりであった。しかし、平静を装っていた。
「おれに大リーグから誘いが来たら、通訳頼むな」
(比呂)
そう言ったものの、古賀のいない寂しさが比呂の心のどこかにあった。
比呂のランニング中、三善は比呂に近づいてきた。
「春華のことで話があるんだけど」
(三善)
そう言うと、比呂と古賀の関係性について詳しく知っていた。
「聞けば、デートらしいデートも数えるほど。未だに『愛してる』はもちろん、『好きだ』の一言すらないらしいね」
(三善)
その他にも、古賀が比呂にしてきたことなどが三善に知られていた。
「彼、時々電話をくれるんだけど、わたしが出るとすべて英語で話してくるの。大変だけど、すごく勉強になるわ」
(古賀)
と言ったことが、比呂の脳裏に浮かんだ。
三善は、比呂の幼馴染みの雨宮ひかりの名前まで出し、「泣かせたりしないでくれよ!頼む!」と言い放つ。
比呂は古賀に対する怒りがわく。古賀に対して「英語だとおしゃべりになるんだな、おまえは」と言い、少しずつ距離が遠くなる。
それからも、二人の距離が縮まることはなく、三善は比呂に対して再度忠告を下す。
「以外といいやつみたいだな。三善っていったっけ?あいつ」
(比呂)
「国見くんほどじゃないけどね」
(古賀)
「なんでおれがいいやつなんだよ」
(比呂)
「だって、一番好きだもん」
(古賀)
そう言うと、古賀は英会話教室へと向かっていった。
すると、同じ野球部の木根が比呂に「あれ、古賀ちゃんは?」と疑問を投げかけ、比呂に対して三善のことを話し始めた。
三善がいろいろ知っていたのは、木根のせいだったのだ。
「おしゃべり」は木根であった。
「おっかしいな、三善ンとこ、今日は両親が泊まりがけの温泉旅行で、英会話教室は休みのはずだけどな」
(木根)
長文ですので、続きはまた明日です。
お楽しみください。
タカセ
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