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#33 I love you~後半~ [H2]

「I love you」
by,国見比呂(H2)




昨日の続きです。後半をお楽しみください。








その頃、古賀は三善の家の英会話教室にいた。
三善と古賀しかいない教室。


三善は古賀に、比呂にしてきたことを正直に話した。
古賀はそれを聞き安心する。


「誤解でもなんでも、その間わたしのことをいろいろ考えてくれてたわけでしょ」
(古賀)


嬉しそうに話すが、三善はこの今の状況を、あとで比呂にばらすように考えていた。


「男ってのは妄想の動物でね」
(三善)


要は、古賀には何もしないが、比呂に二人っきりで部屋にいたことを話せば、自動的に比呂は二人が何をしていたか予想がつく。

古賀が比呂に対して「何もなかった」と言っても、それを素直に信じないはず、と三善はふんでいるのだ。
三善は古賀と比呂の仲を壊すのが、はなからの目的であったのだ。


「国見くんにもいったけど、本当に初めてなんだ、こんなに人を好きになったのは。手が汚いのは百も承知だ。でも、どうしてもきみを渡したくない」(三善)


「残念だけど、わたしも初めてなの、こんなに人を好きになったのは……国見くんがわたしのこと嫌いになったとしても、わたしの国見くんに対する気持ちは変わらないわ」
(古賀)


三善が何を言っても無駄であった。
古賀の気持ちは比呂である。


「国見くんがいってたのよ。意外といいやつみたいだって、あなたのこと……わたしはだまされやすいから仕方ないけど、国見くんはだまさないでほしかったな(古賀)


そう言った古賀の目からは、涙が流れた。


三善は力づくで古賀をものにしようとする。
ビルの三階で、窓も少ししか開かない。
絶望的である。なにせ、三善は柔道部のエース。


そのとき、野球ボールが教室の中に投げ込まれた。
少ししか開いていない窓から、ボールは投げ込まれている。
向かいのビルから投げていたのは、比呂であった。


腰を抜かした三善を尻目に「さよなら」と古賀は言い放ち、教室を出て行く。


ビルを出て、信号を渡ったとこに比呂はいた。


古賀は比呂に泣きつく。


「I love you.ちがうか?発音」
by,国見比呂


「ううん。充分通じるよ」
by,古賀春華


この出来事が、二人の距離を縮めたのは、言うまでもない。




タカセ


#32 I love you~前半~ [H2]

「I love you」
by,国見比呂(H2)







比呂と古賀の二人は、お互いの気持ちを伝えられないでいた。
野球部のエースとマネージャーだが、それ以上の関係でもある。

「友だち以上恋人未満」なのだ。

そんな二人の仲が険悪になる。

三善という男の出現によって……。


三善は帰国子女で、高校2年の夏に比呂たちのいる千川高校に転校してきた。
三善は、英語がペラペラで柔道の腕もたしかである。


古賀はスチュワーデスになるのが夢であり、英会話教室に通い始める。
その英会話教室の先生が三善の父親であった。


古賀はそれ以降、部活を途中で抜ける日も出てきて、英会話教室に通う。
古賀と三善の距離が少しずつ近づく。


比呂はそれが気がかりであった。しかし、平静を装っていた。


「おれに大リーグから誘いが来たら、通訳頼むな」
(比呂)


そう言ったものの、古賀のいない寂しさが比呂の心のどこかにあった。


比呂のランニング中、三善は比呂に近づいてきた。


「春華のことで話があるんだけど」
(三善)


そう言うと、比呂と古賀の関係性について詳しく知っていた。


「聞けば、デートらしいデートも数えるほど。未だに『愛してる』はもちろん、『好きだ』の一言すらないらしいね」
(三善)


その他にも、古賀が比呂にしてきたことなどが三善に知られていた。


「彼、時々電話をくれるんだけど、わたしが出るとすべて英語で話してくるの。大変だけど、すごく勉強になるわ」
(古賀)


と言ったことが、比呂の脳裏に浮かんだ。


三善は、比呂の幼馴染みの雨宮ひかりの名前まで出し、「泣かせたりしないでくれよ!頼む!」と言い放つ。


比呂は古賀に対する怒りがわく。古賀に対して「英語だとおしゃべりになるんだな、おまえは」と言い、少しずつ距離が遠くなる。


それからも、二人の距離が縮まることはなく、三善は比呂に対して再度忠告を下す。


「以外といいやつみたいだな。三善っていったっけ?あいつ」
(比呂)


「国見くんほどじゃないけどね」
(古賀)


「なんでおれがいいやつなんだよ」
(比呂)


「だって、一番好きだもん」
(古賀)


そう言うと、古賀は英会話教室へと向かっていった。


すると、同じ野球部の木根が比呂に「あれ、古賀ちゃんは?」と疑問を投げかけ、比呂に対して三善のことを話し始めた。

三善がいろいろ知っていたのは、木根のせいだったのだ。
「おしゃべり」は木根であった。


「おっかしいな、三善ンとこ、今日は両親が泊まりがけの温泉旅行で、英会話教室は休みのはずだけどな」
(木根)




長文ですので、続きはまた明日です。

お楽しみください。





タカセ

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#26 行くぞォ! [H2]

「行くぞォ!」
by,国見比呂(H2)




現実を受け止めるしかない瞬間が、いずれはやってくる。

どうにもならないとき、人はどうするのか……。



H2 (4) (少年サンデーコミックス)

H2 (4) (少年サンデーコミックス)

  • 作者: あだち 充










国見比呂がいる、千川高校は、野球部のない高校で、愛好会しかなかった。

ヤブ医者によって、ヒジの怪我は誤解であったことが判明した比呂は、愛好会を部にしようと、ライバルの橘がいる明和第一と試合をすることになる。


応援に駆け付けた、橘の恋人であり、比呂の幼なじみでもあるひかりが千川側で応援をしていた。


千川は、明和第一に勝たなければ、部にすることはできず、解散になってしまう。

比呂は、試合に勝とうと、攻撃中にベンチから大声でチームメートに檄を飛ばす。

その姿を見ていた、ひかりは昔を思い出す。




上記のことばを発し、比呂の引退投球を見守る。


「おれがキャッチボールを始めた時から見てきたおまえが見届けろ。
行くぞォ!
by,国見比呂


「行ってらっしゃーい」
by,雨宮ひかり


比呂は、大好きである野球をやめなければならない覚悟を決めた。
投げ終わったあとに、涙を見せた比呂をひかりは知っている。





どうにもならないとき、踏ん切りをつけてみる。

過去は過去。今は今。

優先するのは、言うまでもない、「今の自分」である。





タカセ


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#12 待ってる時間もデート [H2]

「待ってる時間もデートの内でしょ」
by,古賀はるか(H2)




誰かを待っている時間というのは、もどかしい。

でも、そのもどかしさが楽しかったりする。

前日に遠足があって眠れないこどものように……


H2 (9) (少年サンデーコミックス)

H2 (9) (少年サンデーコミックス)

  • 作者: あだち 充









久しぶりの野球の練習がない休日。

国見比呂は、古賀はるかとデートの約束をしていた。


「9時に円蔵寺公園噴水前」(古賀)


遅刻気味であった比呂は、待ち合わせ場所までダッシュ。
なんとか9時ちょうどに着いた比呂であったが、古賀の姿は見えなかった。
しかも、天候は雨。

雨の中1時間待った比呂であったが、古賀は現れず、「はい、コールドゲーム成立」と言って帰宅する。


比呂は古賀の自宅に電話をしたら、「とっくに出かけた」と言われ、比呂は困惑する。


そのころ、比呂の父親は比呂の親友、野田敦の電話に出ていた。
しかも、比呂の物真似をして。

「すっかりお前だと思い込んでいたぜ」と比呂に向かってドヤ顔をしていた。


「野田くんだけじゃないぞ。昨夜なんか、古賀社長のお嬢さんにだってまちがわれたんだから」(比呂の父親)


「明日は雨になりそうだから噴水前はやめて、駅前のなんとかという喫茶店に……
えーと。駅前のドンホー」(比呂の父親)


比呂は駅前のドンホーに向かうと、古賀は本を読んでいた。


「何時だと思ってんだ」(比呂)


「12時15分前」(古賀)


電話を掛けずに待っていた古賀は、比呂が練習の疲れから寝ていると思っていた。
無理に起こしては悪い、と古賀は考えていた。


「だったらなんで、9時になんか待ち合わせするんだよ」(比呂)


「待ってる時間も、デートの内でしょ。
デートの時間は、長い方がいいもん」
by,古賀はるか



「永遠」はない。

ただ、1年でも、1日でも、1秒でも長く一緒にいられることはできる。

それなら、待ってみよう、と思う。

大切な人を、待ってみよう、と……。




タカセ


#5 最後まで突き進む [H2]

「男だったら一度めざした道は最後まで突き進むものよ。
 途中で背中なんか見せるな!倒れる時は前のめりだ! ヒジの痛みなんか根性で治せ!」
by,雨宮ひかり(H2)




「夢」というのは、追い続けてもいいものなのか……。
周りから冷たい視線で見られそうだ。

でも、追い続けて敗れるのならいいのかもしれない。

だって、敗れたときに次の世界が見えてくるからだ。

「成長をする」ということは、敗れて這い上がること。
それなら、最後までやり通そうと思う。




H2の主人公、国見比呂は中学校で全国大会優勝を経験する天才投手である。

ヒジの痛みから、高校では野球部のない高校に進学する。

3か月投げれば、ヒジは壊れると医師から言われ、野球を辞めないといけなかった。
『ガラスのヒジ』なのだ。


比呂の幼なじみの雨宮ひかり。
彼女は、比呂の良き理解者である。

「あんた(比呂)から野球をとったら何も残らないんだから」

医師から野球を辞めたほうがいい、と言われた比呂に対して言いはなつと、続けて……

「男だったら一度めざした道は最後まで突き進むものよ。
 途中で背中なんか見せるな!倒れる時は前のめりだ! ヒジの痛みなんか根性で治せ!」
by,雨宮ひかり


ひかりは、比呂を知っているからこそ、厳しい一言を浴びせた。
比呂の心のどこかで野球に対する未練がある、とひかりは悟ったのかもしれない。




未練があるのなら、やり続けたほうがいい。

ふと思い出したときに、辛くなるからだ。

男なら、一度決めた道を突き進む。それが男なのだ。




タカセ


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