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#25 ローテーション [リアル]

「ローテーションっていうんだよね」
by,安積久美(リアル)




想い続けるという行為は、並大抵なものではない。

だれかを想い、その人のために変わる、そうかんたんには真似できないことである。



リアル (4)

リアル (4)

  • 作者: 井上 雄彦











戸川清春は、骨肉腫のために脚を切断した。

その事実を受け入れ難く、家に引きこもっていた。

幼馴染みである安積久美は、何回も戸川の家に訪れ、お見舞いに行くも、戸川には会えなかった。

それでも安積は(清ちゃん、またくるね)と思い、戸川の家を後にする。

そんな姿を戸川は窓から見ていた。


安積は、ポストに高校の入学願書を入れたり、卒業証書を届けに行ったりする。

戸川の父親は、その姿を見兼ねて、清春に


「あの子だけはずーっと来てくれてた。
せめて、お礼くらいはいうべきだ。清春」
(戸川父親)


「会いたくないっていって。もう来んなっていって」
(戸川)


戸川自身、会いに来てくれる行為が辛かった。
見せられる訳がない脚を、親しい安積だけには絶対に見てほしくなかった。


戸川は虎やヤマと会い、少しずつ変わっていく。

その変わりゆく途中で安積と街で会う。


今までの感謝を伝え、自分で


「会いたくないんだ。もう。さようなら」
(戸川)


と安積に言い放つ。


それから時が経ち、虎のもとで目一杯泣き、


「ひとりじゃねーぞ。ひとりじゃねーぞ」
by,戸川清春


と自分に言い聞かせ、安積に会う決意をする。
手術した脚を見てもらうために。


「男は、好きな女に同情されては生きてはいけない」
by,勝田虎


そのことばを胸に戸川は覚悟を決める。


(俺が強くなればいい。脚のことなんか忘れさせるくらい、強くなってやる。
虎さんのように、強くなる)


そう心に言い聞かせ、安積に見せた。


「…爪が切りにくそうだね。
ロー…ローテーション…?ローテーションっていうんだよね。
ゴメン、ちょっと勉強した……」
by,安積久美





だれかを想い続けることは、かんたんなことではない。

繰り返すが、そんなかんたんなことではないのだ。

安積は、想い続け、その想いが届いた。

それなら、忍耐強く想い続けてみたいものだ。




タカセ



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