#10 歩けない世界の9秒台 [リアル]
「『歩けない世界』にも、きっと……『9秒台』はあるんだ」
by,入院中のおじさん(リアル)
「極める」ということばが陸上には似合う。
記録に向かって己の肉体を鍛え、コンマ何秒を縮めるために、何年も努力する。
人間の限界を極めることが陸上という競技だと思う。
高橋は、トラックとの衝突事故により、脊髄を損傷した。
『胸椎の7番』を損傷し、歩く生活が難しくなった。
車イスの生活になるものの、高橋は床トラと言われる、床から低いベットに移るリハビリを行っていた。
想像を超えるほどの難しさで、高橋は嫌気がさしていた。
ある食事で、同じリハビリ仲間の花咲とテレビを観ていた。
陸上が放送されていて、100メートル走を9秒台で走る選手が映し出されていた。
「この人だって空が飛べるわけじゃない。
人間の限られた能力の中でどれだけあがけるか。それによっては……
9秒台で走る人間だっているってことだよな。空は飛べなくともね」
by,花咲
このことばは、花咲が発したことばではあるが、入院していたおじさんが花咲に話したことである。
受け売りであった。
「この人だって空飛べるわけじゃない。
鳥から見たら9秒でも15秒でも同じ……
『飛べない』世界の出来事だわな。そう思わんか兄ちゃん。
ということはだ『歩けない世界』にもきっと……『9秒台』はあるんだ」
by,入院中のおじさん
「歩けない世界の9秒台」。
考えかたひとつで、どこにもあるはずだ。9秒台が。
私たちの身の回りにもたくさん存在する。
「歩けない世界の9秒台」は暗示に近いかもしれない。
自己満足とは違うが、自分がいかに物事に必死になれるかだと思う。
それなら9秒台が存在する。
私も目指す。「ブログの9秒台」を……。
タカセ
いい言葉なのに…
ブログの9秒台とは、そこをさすのかね!?笑
まだ、新刊読んでないやー
by み (2010-12-19 00:07)
みさん
9秒台は比喩みたいなもんですよ。
新刊は結構動きがありましたよ。
また楽しくなりそうです。
by takase (2010-12-19 00:21)